2025年はKTMから390SMCR、SUZUKIからはDR-Z4SM、カワサキからはKLX230SMとモタードが次々に発売され第二次モタードブームの兆しが見えています。そんな中で同格排気量として比較されることが多いDR-Z4SMと390SMCR。「どっちを買おうか悩んでる」という方が多いと思います。
そこで今回は様々な視点から2台の車両を比較してみることにしました。
比較する対象は以下の3項目とし、それを深堀していく形とします。
1.基本スペック
2.用途別での比較
3.カスタムパーツ・オプションの充実度
結論を先に書くと「メインで走る場所」で買うべき車種が変わります。
今回の比較は基本スペックや既発レビューを参考にしているので筆者の主観が大いに混ざっている可能性があります。「それは違うだろ!」って箇所についてはコメントやメッセージにてお知らせ頂ければと思います。
それでは早速比較していきます。
基本スペックでの比較
DR-Z4SMと390SMCR、2台の基本スペックは以下の通りです。特に注目して頂きたいスペックには色付けしておきました。後程考察してみます。
| DR-Z4SM | 390SMCR | |
|---|---|---|
| 車両価格(円) | 1,190,000 | 859,000 |
| シート高(mm) | 890 | 880 |
| 車両重量(kg) | 154 | 154 |
| 最大出力(PS) 発生回転数(rpm) | 38 8000 | 45 8500 |
| 最大トルク(N・m) 発生回転数(rpm) | 37 6500 | 39 7000 |
| トランスミッション | 5速 | 6速 |
| 燃料タンク容量(L) | 8.7 | 9 |
| ガソリン種類 | レギュラー | ハイオク |
車両価格について
DR-Z4SMについては先代DR-Z400SMをベースとしつつエンジンのほとんど、フレームから足回りまで新設計したことにより車両価格の高騰に繋がったと思われます。下画像黄色部はDR-Z400SMのエンジンから新設計品となった部分ですが7~8割程度がアップデートされています。フレームもシートレールやスイングアームは軽量かつ高強度なアルミ製、エキゾーストに関してはステンレスを使用。これは120万円するのはある意味納得かな…こちらの乗り出し価格は筆者が実際に購入した125万円とします。

一方390SMCRについては390系のLC4cエンジンやマフラー等共通部品を増やすことによってコスト低下を図っているように見受けられます。乗り出し価格は販売店でかなり差がありますが96~103万円程のようで新車で買えるモタードの中では比較的安いと思います。
乗り出し価格の最大幅は29万円程度になり、価格だけ見ると390SMCRに軍配が上がります。購入するにあたり予算が最優先の方は390SMCRが十分視野に入ると思いますが他の項目でも比較してみましょう。
出力(馬力)特性について(海外レビュー参考)
同じモタードとは言えスペック表や海外レビューを見ているとそれぞれ住み分けがされている車種なのかなというのが筆者が感じたレビューでした。
タイトな峠道、林道やフラットダートが中心ならDR-Z4SM、直線が多い街中や通勤用途なら390SMCRと用途が分かれていてどちらも魅力的で甲乙付けられないのが結論になりそう。
筆者はDR-Z4SMを購入しましたが納車待ちのため、今回は海外YouTuberの「Cycle News」様のレビューを参考にしています。以下に動画内で語っていたレビュー内容を抜粋しておきます。
DR-Z4SMインプレ内容抜粋
・ダンロップスポーツマックスの選択が素晴らしい
・6速ギアが無いため高速巡行は苦手だが60~75mph(97~120km/h)までは猛烈に加速する
・低速コーナリングのトルク感(立ち上がり)は素晴らしい
・ブレーキ性能はかなり良い
・リアABSのオフでスライドやウィリーと馬鹿げた運動ができる(誉め言葉)
・サスペンションはデフォルト設定ではかなり弾力があるためセッティングが必要。セッティング変更後は違いがはっきりと感じられ劇的に改善された
・シートは硬い、40分乗ると尻が痛くなる、長距離は絶望的だと思う
・海外での評価は非常に高い!壊れない。とにかく頑丈
・価格については日本製、スズキ製という事を考慮すれば問題ない。品質が優れてるので長く乗れるだろう
翻訳が上手くいってないかもしれませんが大体こんな感じのレビューでした
390SMCRインプレ内容抜粋
・部品は高級品が使われておりコスパ最高!スーパーモトメーカー筆頭であるKTMからこの価格で買えるのは本当にお得。スーパーモトのエントリーモデルとしても最適
・タイヤは硬めなのでサーキット走行の場合は交換が必要だと思う
・シートは十分広く体重移動が非常にしやすい
・リアABSをオフにすると様々な挙動を試せて乗っていて本当に楽しい!
・4.2インチの液晶メーターは必要な情報が詰め込まれていて視認性が良い、グリップ左側のジョイスティック操作も他社と比べて非常に使いやすい
・オプションが豊富でクイックシフター($277)の作り込みが非常に良くてシフトチェンジが容易になる。オプションを付けるとしたらクイックシフターはかなりおすすめ
・シートはやはり硬い、これで長距離移動は考えられない
・44馬力のエンジンは街乗り、通勤に最高にマッチする。楽しすぎて免許がいくつあっても足りないだろう
以上海外からのレビュー抜粋でした。海外でもDR-Z4SMは高い!と言われてますが評価は上々で褒めちぎっていました。390SMCRも装備が充実、メーターは非常に使いやすい、見やすいで好評。いずれのバイクも価格以上の価値があるのは間違いなさそうです。
ガソリンの種類について・燃費試算
DR-Z4SMはレギュラーガソリン、390SMCRはハイオクガソリンをそれぞれ使用します。
「これって比較対象になるんじゃないかな?」と思ってそれぞれ1万キロ走った場合をシュミレーションしてみたんですが、結論そんなに変わらないので気にしなくても良いかなって感じです。
計算した結果を下記します。
前提条件
| 車種 | 燃費 | ガソリン種 | 単価(東京都平均) |
|---|---|---|---|
| DR-Z4SM | 29.4 km/L | レギュラー | 169.8 円/L |
| 390SMCR | 29.4 km/L | ハイオク | 180.6 円/L |
計算式
必要燃料量 = 10,000 km ÷ 29.4 km/L
= 340.14 L
燃料代
| 車種 | 単価 | 使用量 | 燃料代 |
|---|---|---|---|
| DR-Z4SM | 169.8 円/L | 340.14 L | 57,755 円 |
| 390SMCR | 180.6 円/L | 340.14 L | 61,447 円 |
差額まとめ
- 差額:約 3,692 円
- 1kmあたり差額:約 0.37 円/km
ハイオクを入れる場合では約3,700円高いという結論になりました。1万キロでこの価格差なら誤差と言えなくもないですよね。これは390SMCR乗りたいけどハイオクなのがキツイ…と先入観を持っている方には良いニュースになるかと思います!(筆者はそうでした)
用途別での比較
前項の出力特性からよく行くorこれから行きたいと思っているツーリング先で検討するのも良いと思います。
具体的には以下の通りです
街乗りは少なくタイトな峠道や林道・フラットダート走行が多い
この割合だったらDR-Z4SMが間違いなく楽しいと思います。DR-Z4SMは2~4速くらいを多用するタイトな峠道、フラットダートがドンピシャでハマって楽しいと確信しています。
峠道や林道走行は少なく高速道路含めた街乗りが多い
峠道にも様々な種類がありますが高速域を多用する峠であれば390SMCRの性能を存分に楽しめるはずです。高速道路や幹線道路を走る機会が多いライダーであればこちらが選択肢に入ります。
また、390系エンジンの実績からも「タイトな峠道が苦手」という事はないはずです。万能を求める方にはぴったりな車種でないでしょうか
カスタムパーツ・オプションの充実度
自分好みの車両にするにはカスタムパーツが不可欠です。発売してから間もない両車はサードパーティー製のものが少ないため純正オプションは非常に大事。
スズキとKTM、どちらが充実しているかも比較してみます。
DR-Z4SMの場合
DR-Z4SMの商品ページからみてみました。

主要なものから電源取り出し部品までカウントするとその数23個!完成された車両故かオプションについてはあまり充実していない気がします。リアキャリアなんかもラインナップされていますが見た目や耐荷重はあまりそそられるものでは無かったです。筆者は社外品の発売を待とうと思います。グリップヒーターが欠かせなくなってくる年頃なので正直これは欲しかったな…
390SMCRの場合
一方390SMCRはPOWER PARTSと呼ばれる純正オプションが非常に充実!その数なんと111種類!グリップヒーターや各種プロテクターなどの基本的な装備から始まりオレンジアルマイトのブレーキリザーブタンクキャップやブレーキレバー、スリップオンサイレンサー等カスタムパーツが網羅されています。

オレンジのレバーカッコイイ・・・

筆者は過去、KTMグループのハスクバーナ701SMに乗っていたことがありますが、KTMやハスクバーナの純正オプションはかなり品質高いです。
総評・まとめ
DR-Z4SM、390SMCRの2車比較記事、いかがでしたでしょうか。DR-Z4SMは金額が高いですが先代から比べると全く別物というくらい作りこまれている。390SMCRの金額は安いが値段相応なんてことは全くなく、コストパフォーマンスが非常に高いバイクである事が分かったと思います。
最後にどちらを買うべきか迷っている人に向けて上記してきた内容を簡単にまとめていきたいと思います。
DR-Z4SMを買うべき人
セロー225や250、CRM250なんかの中低速トルクモリモリのオフモタ車からの乗り換えなら期待は裏切らないはずです。逆にWR250X、690SMCR、701SMなどの高回転域が強い車種からの乗り換えの場合「遅い!」って評価になる可能性があります。
スペックやレビューを見ていくと低中速のトルクが欲しい方にはDR-Z4SMがハマるはずです。
そして何よりの壁になるのは車両価格。巷のレビューでは価格以上の価値がある!と言われていますが、モタード初心者や先代DR-Z400SM乗りからしたら間違いなく高いハードルになると思います。
2025年11月に筆者のDR-Z4SMは納車される予定なので今後のレビューで価格以上の価値があるのか確かめて行きたいと思います。
390SMCRを買うべき人
具体的な車種で言うとWR250X 、690SMCR、701SMに現在乗っている方は違和感ないのかなと思います。
比較的高回転域でピークパワーを発生する特性から、エンジンをぶん回して乗るシチュエーションが多い方や高いコスパを求める方にはドンピシャの車種です。また、オプションであるPOWER PARTSが物凄く充実しているので余った予算でカスタムを楽しみたい方にもおすすめ。
予算が許すなら両方試してみたいところです。こちらの車両も機会を作ってレンタルなどで乗ってみたいと思います。




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