世界中のモタードファンが待ち望んでいたDR-Z4SM!筆者もようやく納車を迎えることができました。納車初日は往復200km、後日95kmの合計295kmを走行し、この車両の特性が薄っすらと分かってきたのでファーストインプレッションということで今回の記事を書くことにしました。
この記事はDR-Z4SM納車直後に筆者自身が実際に乗ってみて感じたことやこれから改善していきたい点などをファーストインプレッションという形でお送り致します。
購入を迷われている方への参考になると思いますので是非読んでみてください。
DR-Z4SMを購入した動機
※個人的な購入動機なので読み飛ばして頂いても大丈夫です。

オンロードはもちろん、ある程度のオフロードも許容してしまう懐の深さやプロライダー達がドリフトでコーナーリングしていく豪快な乗り方に一目ぼれして以来モタードというジャンルの虜になってしまいました。
当時サーキットを走っているとスキール音を鳴らしながらカウンターを当ててコーナーを抜けていくライダーに出会い感銘を受けたのを今でも思い出します。
人生初のモタードは名機WR250X!今やDR-Z並みに高価になってしまって買い戻すのも難しく、売却したのを今でも悔やんでます。250ccなのに400ccのDR-Z400SMと比較されていたのはある意味不遇か?それだけハイスペックだったという事か?
その後に乗ったのはハスクバーナの701SM、こいつは狂暴そのもので軽い車体に超絶パワーのモンスターマシンでした。トレールバイクの域は余裕で超えておりスロットルを捻ればフロントが離陸する本当に楽しいバイクでしたが諸事情により売却。その後もモタードへの情熱は冷めることは無かったが新車で買えるモタードは限られており市場には良い個体が少なくなってきた。これは!と思う個体に出会っても値段と釣り合うものは中々見つけられず。
そんな中で筆者が新型DR-Zの存在を知ったのは2024年の8月頃でした。とあるXユーザーの方が「スズキが新型オフロードバイクのエンジンについての特許を申請していた」とのポストを拝見したところからです。よくよく見ると「あれ、これDR-Zじゃない?」といった具合です。
当初は日本はおろか発売に漕ぎつけるかも分からない状態で悶々とした日々を過ごしていました。
そしてサプライズ的に海外での発売発表!これは良い流れ!しかもオプションカタログには日本の国旗が・・・これは国内販売確定だろと思い、居ても立ってもいられずスズキ社の広報部へ電話!
スズキ広報担当者様「日本国内の販売も予定しているので続報をお待ちください!」
この言葉は筆者にとって希望の光!これはもう買うしかない!
数々の逸話があるDR-Zが大幅アップデートした上に新車で買えるなんて千載一遇のチャンスと思い、貯金をしつつ日本での発売を待つことに決めました。(もうこの時点で何円だろうが買う!と決めてました)
そして2025年10月末日、ついに納車日の連絡が入り我が家にお迎えするに至りました!
前置きが長くなってしまいましたが多くの期待が寄せられている新型DR-Z4SMについてファーストインプレッションをしていきたいと思います。
筆者はプロライダーでもなければ企業から案件をもらっている訳でもない一般人なので忖度なくDR-Z4SMの良いところ、不満点といった生の声をお伝えしていきたいと思います。
スタイリング・外装



う~ん。どの角度から見てもカッコイイ(親バカ)
スタイリングについては王道のTHE・モタードといった感じ。フルステンレスのマフラーは今時のテーパーコーン型で気に入ってます。純正マフラーでいいやと思えたのはこいつが初めてかもしれない。ちなみにこの写真を撮影した後、ハンドルにリュックを掛けていたのですが肩紐がマフラーと接触してしまい剥き出しマフラーの洗礼を早速浴びてしまいました。火傷には注意したいですね!
ライト・灯火類

灯火類は全てLEDになっています!先代DR-Zオーナーの悩みの種であったヘッドライトの光量不足もこれで完全解消されました。

ウインカーはコンパクトだけど視認性は抜群!
ETCの搭載位置について
現状ではバッテリーが収納されいる左サイドカウル内に搭載するしか手段は無いようです。転倒した際のダメージが心配されますがまあ大丈夫でしょう。

インジケーターはライトカウル脇、アンテナはライトカウル内に隠して収納してあります。一見するとETCは付いていないように見えてスッキリした印象。この取付位置は本当に気に入っているポイントでもあります。ドラレコについては写真の通り搭載位置が限られている都合で今回は搭載しませんでしたがETC車載器を縦置き、コンパクト筐体のドラレコであれば何とか詰め込めそう。

ETCまでのアクセスの手順は以下の通りです。

左サイドカウルの写真下部に黒いゴムキャップがあるのでめくると鍵穴がコンニチワ!キーを差し込み90°回転。下から上に力を入れ黒いカウルを剝がします。

一見やる気があるのか?と言わんばかりの車載工具が出てくるのでこいつで車載工具が入っているカウルのボルト3本を外します。
余談ですが車載工具横にある空きスペースはDR-Z4SM唯一の収納スペースです。これを収納スペースと言い張るのも勇気が要りますが書類入れとして割り切れば問題ないのか?

ここのボルトは取り外し時に車載工具と接触するので傷つけないように注意!後はグロメットから爪2本を引き抜けばカウルが外れてETC車載器にアクセスすることができます。
手順事態は簡単だけど、この手順を毎回行うのは正直面倒くさいですよね。筆者はこれを省きたいがために2枚目のETCカードを発行することを決意しました。
足つき・乗車ポジション
DR-Zに限らずモタード、オフロード車を購入検討している方の多くが気にしているであろう足付きについてもチェックしていきたいと思います。

筆者のスペックは身長170cm体重75kgで車両のシート高は890mm

お尻を真ん中にして座ると両足はツンツン。街乗りではあまり実用的とは言えないですね。

少しだけお尻を左側へずらして座った図。足つき問題は解消されました!
足つきに自信がない方は信号待ちで縁石に足を乗せたり厚底のブーツを履く等の工夫をしたほうが良いかもしれません。

足つきで困るのはレアパターンかもしれませんが上り坂でUターンをする時くらいですかね。急坂で実際にやってみましたが全く足が付かないので確かに怖い。が、実用上は何も問題ありません。坂道でUターンはなるべくしないようにすることで無理やり解決!
過去、同じシート高の701SMに乗っていた時よりもポジションが楽に感じました。DR-Z4SMはサスがしっかり沈み込んでくれるので日本人に優しいと思います。シート幅も若干狭く感じるのも足つきの良さに貢献してくれてるのかも。その分尻が痛くなるのは早い気もします。
走行性能
結論を先に書くと筆者は高速道路は非推奨!(退屈なので)それ以外はどこを走っても楽しかったです。
納車日当日のルートは↓のようにしました。出発地点は埼玉県和光市付近、目的地は東秩父にある天空の展望台としました!ここにした理由なんですが高速道路も走れて道中の適度に狭い峠道がDR-Z4SMにはピッタリハマるんじゃないかと思って選定しました。これからも色々な所へ行きたいと思います。

それではエンジンスタートして行ってみましょう!
エンジン性能

チタンINバルブ、ナトリウム封入EXバルブ、ツインスパークプラグ、電制スロットル、どれの恩恵なのかは分かりませんが(あるいは全部?)どの速度、回転域からでも猛烈に加速していきます。38ps/8000rpmのエンジンスペックは先代と比較すると控えめで少し退屈なバイクだったらどうしようと思っていましたが杞憂に終わりました。701SMに乗っていた筆者でも加速すると思わず「これ凄い!!」と叫んでしまう程の走行フィールでした。
スポーツ走行はもちろん4速50~60km/hで流すような走りも気持ちよく走れるので街乗りが多いライダーにも自信を持って買い!と言えるバイクです。
足回り・ブレーキ・タイヤ
非の打ち所がない仕上がりだと思います。倒立フォークのアウターチューブはブラックアルマイトで主張しすぎていないが存在感を発揮しています。インナーチューブ部に取り付けられているカバーもオーバーホールまでの寿命を延ばしてくれそうで大変嬉しい装備。

発揮してるのは存在感だけではありません。峠道にありがちな大きな凹をそこそこの速度で乗り越えてしまった時に身構えていましたが思ったほどの衝撃は無く「あれ?こんなもんかな」と感じる程度。ストローク量260mmのFフォークが吸収してくれてたみたいです。

オンロードを走っていて感じた印象は「しなやか!」大体の凸凹はフロント、リアのサスペンションが吸収してくれて不快な突き上げ感やスポーツモデルに良くあるゴツゴツ感は感じませんでした。それでいて接地感はしっかりあるのでスリップダウンするかも…といった不安感は全く無く安心して走る事ができました。

フロント310mm、リア240mmの大径ディスクはモタードには必須装備!前後共にシングルディスクですがストッピングパワーは十分で不満点はありません。

ABSユニットは車両左側のラジエーター上に配置。
タイヤはダンロップのQ5Aが採用されています。久々のスポーツタイヤに緊張しながら走りましたが限界性能まで使うことは公道では無いと思います。峠道を少しハイペースで走ってもスリップや怪しい挙動を感じることは無く、このままサーキットも走れるスペックだと思います。


足回りは慣らしが終わればセッティング、前後タイヤは余裕があればチューブレス化に挑戦してみたい。
高速道路インプレ

退屈・苦行!笑
そもそも筆者はバイクでの高速道路走行があまり好きではないんですよね・・・峠道や林道を走って五感でバイクを楽しみたい派なので移動に徹する高速道路はワープしているみたいで非常にもったいないなと考えているからです。音楽でも聞いていれば良いじゃん!とツッコミが入りそうだけど、インカムなんてハイテク機器は筆者のヘルメットには付いていないので悪しからず。
少々脱線しましたが公平にインプレをすると高速道路での走行性能は何ら申し分ありません。100km/h前後の巡行も余裕でこなし、追い越しで瞬間的に120km/h程まで出してもハンドルがブレることも無くド安定。回転数的にはまだまだトップスピードは出ると思います(150km/hは余裕で行くんじゃないかと)がモタードの大敵である走行風に阻まれ体力の消耗も激しくなるので80~100km/hくらいが一番楽しい速度域なのかなと思います。
振動について筆者はほとんど気になりませんでした。過去乗っていた701SM(バランサー付き)と比較してもDR-Zの方が振動を感じないレベル。701SMは一日中乗ってると手が真っ白になるレベルだったがDR-Zは手の痺れが全く無く感動!
振動では強いて言えば特定の回転数になると共振したミラーがぶれて後ろが若干見え難くなるくらいでしょうか。
シートポジションが高いおかげで前方の見通しは良く、道路状況がすぐに把握できるのでそういった点ではポイント高いです!
ですがこのバイクでのロングツーリングにはポジティブな気持ちになれません。風圧がきつかったり、尻と腰が1時間もしないで痛くなるなど物理的な要因もありますが、限りあるDR-Z4SMの寿命を高速道路で削ってしまうのはもったいない!というのが本音です。こんなに下道が楽しいバイクは他にはありません。多数の県を跨ぐような移動では自分とDR-Z4SMを保護する目的でトランポを使いたいですね。今後は自家用軽バンをトランポにする企画にも挑戦します。
峠道インプレ

退屈だった高速道路がようやく終わり、SDMSをAモード、トラクションコントロール(以下TC)をOFFにしてスロットルを絞ると尻を蹴っ飛ばされるレベルの加速感で最高に楽しい!まだ慣らし運転中なのでハーフスロットルを守っていたつもりですが底知れないパワーを感じます。PVではウィリーやパワースライドをガンガンやってましたがあの内容に嘘偽りは無いと断言します。リアブレーキを上手く使わないと捲ってしまうかもれません。ちと恐ろしくなってしまいTCは1へ戻しました。ドライ路面用のモードなので丁度良いはず。
そんな過激な一面がある一方、信号スタートや渋滞時の発進は太いトルクのおかげでスロットルを開ける必要が無いレベルで楽です。電制スロットルの制御も相まってエンストする気がしない!それに輪をかけてクラッチレバーの握りも軽いので渋滞が続いていても苦になりませんでした。いつもなら夕方になると両手が怠くなってきますがそれも皆無。

目的地までの道は2~3速を多用するようなタイトコーナーが連続していました。前述の通り低~中回転域での出力特性は感動もの!アクセルを捻れば捻った分だけ加速してくれます。発進からトルクがモリモリ湧いてくるので全域がパワーバンドと言っても差し支えない!初めての乗車なのにタイトな峠道をスムーズに走れる。そのせいか速度が出すぎて焦ることもしばしば。
最新鋭の電子制御のおかげで自分が上手くなったような錯覚をさせてくれるバイクです。フルスロットルする際は発進からえげつない加速をするのでくれぐれもむち打ちに気を付けてください。TCは1にしておくことを推奨します。筆者は首がウィークポイントなので焦りました。
ワインディングを初めてのバイクで走るとスムーズに行かないのは良くある話ですがDR-Z4SMでは何故か皆無。むしろ「初めて乗った感じがしない!」という感想が出る程、身体に馴染みます。コーナーの切り替えしもとんでもなく軽い!154kg38psというカタログスペックで判断するのが如何に意味のない行為だったかを良い意味で思い知らされました。
一方でCモードはどうかというとAモード程過激ではないが必要十分な加速力が確保されマイルドに仕上がっている印象です。筆者はプロライダーではありませんがAとCモードの違いは明確に感じることができ、同じバイクとは思えない特性の違いに素直に関心してました。例えるなら同じ車体なのにWR250Xとセローの特性を使い分けられる感じでしょうか。
渋滞が多い街中や雨天時、フラットダートを走る際はCモードがコントロールしやすいので天候や路面状況で積極的に使い分けていきたいと思います。

SDMS、TCのモード変更だったりオドメーターやトリップメーターの切り替えはハンドル左側にあるスイッチで行えます。シンプルな構成ですが直感的に操作できるので戸惑うことはありませんでした。
ちと危険かなとは思いましたが走行しながらSDMSが切り替えられるかテストしてみたらできちゃいました!止まることなく切り替えできるみたいですが普通に危ないので以降は封印です。好奇心が満たされて気が済みました。
燃費はどれくらい?
筆者も例外なく気になったのは燃費。タンク容量が8.7lと比較的小さいDR-Zには重要な問題です。約300km走って測定してきたのでその結果を下記していきたいと思います。いずれもレギュラーガソリンを使用しています。
高速道路での燃費
高速道路ではSDMSはCモード、TCは1として100km/h前後で巡行しました。距離にして60km程を走行した結果、37.4km/lを叩き出しました。エコランはあまり意識しないでこの結果だったので上々な結果にご満悦!

一般道での燃費
Bモード固定でTCは1、140km程走り計測しました。やはりエコランは特に心掛けずいつも通りに走行。結果メーター上は33.5km/lを達成!これにもご満悦・・・となりたかったがここで一つ疑問が浮かぶ

「この表示本当に合ってるの?」素直じゃない性格はこういう時に役立つものです。じゃあ実測値を図ってみよう!ということで予めガソリン満タンで出発、Bモード固定で140.9kmを走行してきているので帰りに同じGSで給油し実測値を計算してみることに。


140.9kmに対して4.92Lの給油なので実測値は・・・28.63km/L!
メーター上の表記と約15%程の違いがある事が分かりました。こちらについては走行距離がまだまだ少ないため検証していきたいと思いますが、これが誤差であればメーターの表記は参考程度にした方が良いかもしれませんね。今後のレビュー用に数回測定を繰り返し誤差がどの範囲になるのか検証していきたいと思います。
まとめ・今後のカスタム構想
以上インプレ記事にお付き合い頂きありがとうございました。最後にこの記事のまとめと今後やっていきたいカスタム構想(妄想)をして記事を〆ていきたいと思います。
※こちらのまとめは後日、加筆予定です。楽しみにお待ちいただければと思います
気に入ったポイント
エンジン特性・ワインディング走行
エンジン特性はSDMSを切り替えることによって全く異なる特性になるのに感動。鈍感な筆者でも違いが分かるレベルなので乗る方のほとんどが違いを体感できるはずです。渋滞が多い街中ではCモードが圧倒的にコントロールしやすい!Aモードは扱えそうで扱えない「じゃじゃ馬」って感じでした。TC OFFと組み合わせるとDR-Z4SMの真価を発揮できるので慣らし運転が終わり次第、安全マージンを取りながら活用していきたいと思います。
そしてAモードでのワインディング走行が本当に楽しい!軽量な車体とハイパワーなエンジンの組み合わせは素晴らしいツーリングを体験することができました。他のDR-Zユーザーは分かりませんが何故か身体に馴染むんですよね。
スタイリイング

圧倒的にカッコイイ(親バカ2回目)今まで乗ってきたバイクでは何かと改善していきたいところが何かとありましたが今回に限っては不満点がない!こう書くとスズキの回し者と思われるかもしれませんし親バカ補正もあるのかもしれませんが本当なのでご容赦ください。
通称ポリバケツカラーのスカイグレーはとても気に入ってますがDR-Z4Sのチャンピオンイエロー外装もスワップしてみたいと思っていたりします。っぱスズキはイエローでしょ!
振動の少なさ
高速道路や定速巡行していると振動で手が痺れてしまうことが過去乗っていた車両ではありましたがDR-Zでは今のところ皆無。パワーがあるからか振動が出やすい回転域までツーリング程度の使用では回ることはほとんど無いのが影響しているのかと思います。
高速道路での巡行も手が痺れることはなかったです。ミラーが振動して映りが若干ブレることはありますが許容範囲でした。尻痛と風圧を克服できるのであれば北海道ツーリングなんんかの長距離走行も問題なくこなしてくれそう。
いまいちな所と改善していきたい点について
ネガティブに感じた内容は2点。自分なりに改良していきたいと思っているポイントは2点の合計4点
ETC車載器までのアクセスが面倒
長時間走行で尻が痛い
ドラレコを搭載したい
ヘルメットホルダーの使い勝手改善
今後のカスタム構想
エンジン、足回り、電子制御と走行性能は非の打ちどころがありませんが、見た目を更にドレスアアプしていきたいです
・外装スワップ
・フェンダーレス
上記が最有力候補ですかね。海外では早速カスタムされたDR-Z4SMが出回ってるみたいなので日本にも進出してくるのもすぐじゃないでしょうか。発売を楽しみに待ちたいと思います。


コメント